思春期は自分で丁寧に歯を磨くことが出来る年代ですが、歯列は成人よりも混沌としています。従って、歯ブラシの状態によっては虫歯や歯周病を惹き起こしてしまいます。この時期に使う歯ブラシは、歯列不正に対応し易い形状になっています。また使用者本人に歯磨きの重要性を認識させるように、凝ったデザインが施された商品も数多く販売されています。
思春期を通過すると歯列は一通り完成し、長い成人期に対応した歯ブラシを揃えることになります。成人期の歯ブラシは歯周病や歯の喪失に対応するのはもちろんのこと、長い使用を見据えたラインナップも特徴とします。種類が豊富で、色々な大きさ、形状の歯ブラシが存在するのです。
例えば成人は細かな清掃を心掛ける人も多いですから、歯間部の清掃に適した形状を売りにする商品を見かけることがあります。また操作性に拘る人のために、頸部が細長く、頭部が小さな歯ブラシも販売されています。
もちろん大人の中にも清掃が下手だったり、口腔環境に関心を寄せなかったりする人もいますから、そういう人たちのための歯ブラシも流通しています。例えば頭部の幅が広い歯ブラシは、歯磨きの時間が短い人でも効率的に清掃できるようになっています。
さて、歯ブラシにあまり興味のない人はご存知ないでしょうが、歯の矯正に取り組んでいる人や歯周病を抱えた人のために開発されている特殊な歯ブラシも存在します。矯正治療は歯に強制装置を取り付けるため、歯を磨くための環境としては最悪になります。隅々まで磨けなければ、口腔疾患に罹るリスクは高まってしまいます。
それを避けるために生み出されているのが、植毛部を特殊加工した歯ブラシです。山型の形状や2列の毛束などが典型例で、こうした歯ブラシは矯正装置付近まで磨くことが出来ます。付属品が充実しており、タフトブラシ等でさらに念入りに磨くことも可能です。
一方、歯周病に罹った歯を磨くための歯ブラシとしては、毛の硬さや形状が独特のもの、歯周ポケットに対応したもの、歯肉マッサージ出来るもの、インプラント用などが挙げられます。
歯周病は基本的に歯肉炎を発症していますから、毛は柔らかいものが適しています。毛先は歯周ポケットに入るように極細であることも少なくありません。歯肉マッサージ用の歯ブラシは毛丈が長いのが特徴で、柄部にラバーが貼られていることもあります。インプラント用の歯ブラシは毛が柔らかく、タフトブラシが付属しています。