歯ブラシの選択基準

         

           

歯ブラシは自分に合ったものを選ぶことが大切です。相性の良くない歯ブラシで磨いても、効果は半減してしまいます。ではどのような点に注意して歯ブラシを選択すればよいのでしょうか。

まず確認すべきなのは、使用者の口の形状や大きさに合っているかどうかです。使用者本人であれば、お店で実際に歯ブラシを見て確認することが出来ますが、他人にプレゼントする目的で歯ブラシを購入する場合、その歯ブラシを使用する者の口を想像して選択しなければなりません。毛は硬すぎたり柔らかすぎたりせず、毛先が鋭利過ぎないものを選びましょう。

毛束の間隔にも注意することが大切です。毛の長さは30ミリ以下であればそれほど気にする必要はありませんが、使用者が子どもの場合は10ミリ以下の方が望ましいこともあります。柄については、とにかく使い続けても変質しないものであることが第一条件です。水を弾くのはもちろんのこと、落としにくい(握りやすい)のも優れた柄の条件です。

デザインについては飽きないものを選びましょう。毎日使用するわけですから、奇抜なデザインは避けた方が無難でしょう。

以上、主要な選択基準を見てきましたが、他にも細かな基準を各人が設けると良いでしょう。例えば筆者であれば、陳列用のパッケージが清潔であることも条件として考慮に入れます。

さて、歯ブラシは大別すると柄部、頭部、頸部の3部位から成ります。このような構造になっているのは、歯ブラシの機能を最大限発揮させるように工夫が重ねられてきたからです。

それぞれの部位について少し詳しく見ていくことにしましょう。

まず柄部ですが、材質は軽くて耐久性のあるものがほとんどです。言うまでもありませんが保水性の低いものでなければなりません。一部にラバーが貼られた商品も多く、メーカーは操作性を向上させるために日々開発を続けています。

         

歯ブラシの頸部

     

歯ブラシは柄部と頭部の他に、頸部に当たる部分が存在します。この頸部は柄部の中で最も細くなっている箇所であり、頸部の造りが歯ブラシの使い勝手を左右するのです。頸部が適度に細ければ、口の中でブラシを動かしやすくなります。実は柄部の材質によっては一部だけを細くするのは難しいのですが、最近の歯ブラシは樹脂で出来ているため、かなり細長い頸部を特徴とする商品も見かけるようになりました。細いだけではありません。

頸部に適度なカーブが施されたものも販売されています。

繰り返しになりますが、頸部を含めた柄部の形状は歯ブラシの操作性に直結します。これまでの研究で、基本形は直線型が望ましいとされますが、それは毛先に伝わる力を測りやすいからです。裏を返せば傾斜した柄は扱いにくいこともあるのですが、用途に合わせて使えば最適な形状になります。

さて、手用歯ブラシについてはこれ以上説明する必要もないでしょうが、電動歯ブラシはまだまだよく知られていないポイントがありますから、ここで学んで頂きたいと思います。

電動歯ブラシは元々障害者用の道具として開発されました。手用歯ブラシを上手く使えない人のために考案されたのです。考案者はスイス人の研究者でしたが、その案を実用化したのは米国の企業でした。その背景には、戦後の米国で口腔清掃の重要性が認識されたことがあります。手用歯ブラシのデザインが進化しているように、電動歯ブラシも機能、デザインの両面で変わってきました。初期の電動歯ブラシは手用歯ブラシの動きを自動化することが目的でしたが、90年代以降、電動歯ブラシ独自の動き(振動)が加えられたのです。これにより、手用歯ブラシよりも沢山のプラークを除去できるようになりました。

      

歯ブラシの頸部と頭部

      

歯ブラシの3部位、すなわち柄部、頸部、頭部には、それぞれ歯ブラシの機能を支える役割があります。頸部が細くなっているのは、口に入れた時に柄が歯に当たって磨き辛くなるのを避けるためです。

頭部もそれほど大きくないものが多く、様々な工夫が施されています。基本的に頭部は清潔を保てるような設計が重視されます。

また毛の長さは短すぎないように造られています。というのも、清掃効率を高めるためには、毛の脇腹を使うことがあるからです。植毛のあり方は商品によって異なりますが、多くは3列と4列の毛束で成り立っています。実はこの数にも理由があります。それは最も衛生的な毛束の列数が3列前後だからです。市販されている歯ブラシの中には2列のものもありますが、それらは歯間の清掃に特化した構造を成しており、購入者もその目的で使用しています。

毛先については誰もがイメージできることですが、硬すぎず、柔らかすぎず、鋭利すぎないものが理想的です。ラウンドカットと呼ばれる製造方法が基本となっており、業務用の歯ブラシは特に毛先が丁寧に処理されています。消費者としてはパッケージの外から硬さを見分けることは叶いませんから、通常はパッケージのどこかに説明がありますが、メーカーの主観によるところも大きく、信じ過ぎないことが大切です。因みに歯肉が弱っている人は、迷わず柔らかい毛のブラシを選択すべきです。

毛の材料はナイロン製のものがほとんどですが、天然毛が使用されたブラシも存在しないわけではありません。天然毛は高級品として扱われますが、機能面では人工毛に劣っているとされ、例えば撥水性は高くありません。

      

植毛部の分類

         

歯ブラシの植毛部はその形状の違いから色々な種類がありますが、使用者は目的に合わせてそれらの中から選択することになります。ここで幾つかを例にとり、説明することにしましょう。

一つ目は扇状型と呼ばれるものです。刷掃面が広がっているのが特徴で、扇を成しています。最近はあまり見かけませんが、天然毛を使った高級歯ブラシなどには用いられることがあります。

二つ目は傾斜型です。刷掃面に傾斜が設けられ、毛先の長さの違いが特定の歯の清掃を容易にする構造になっています。例えば小さな子どもの歯を磨いてあげる時に使用し易いという利点があります。

三つ目は凹型です。臼歯部に特化した造りが特徴で、歯の全体を磨き切ることはできません。その点で凸型の歯ブラシも頬側の歯を磨くのには適していません。

四つ目は房状型です。独特の形状が唇に近い歯の清掃を容易にしますが、頭部が大きくなる欠点があります。

頭部が大きいと操作し辛い歯ブラシになってしまいます。

以上、植毛部の形状の類型を簡単に解説しましたが、歯ブラシの種類は毛の形状だけでなく、材質、硬度も関係します。実は現在流通している毛はナイロン製がほとんどで、過去に使われていた天然毛はあまり見かけることがありません。

ナイロンはブラッシングに向いており、加工しやすく、水を弾くことから、非常に重宝されているのです。

硬度については今更ここでお話しすることも無いでしょう。

ほとんどの歯ブラシは家庭用品品質表示法により、「柔らかめ」「硬め」といった表記と共に販売されています。但しその基準はメーカーによって異なるため、最終的には購入後に確かめることになります。因みに毛は太ければ太いほど、短ければ短いほど硬くなります。